ふにふにぷくぷく。あなたの笑顔はまるで天使のよう。
全力で泣いて全力で笑って、全力で生きている。

そんな姿に私は、心のどこかで憧れを抱いているのかもしれない。


「じゃあね、僕。またね〜!」


クレアが手を振れば、男の子は満面の笑みを浮かべて手を振り返す。
彼の母親はにこりと微笑み、一礼してクレア達に背を向けた。

ぶんぶんと手を振り続けるクレアの隣で、つまらなさそうな表情を浮かべているのは――テセアラの神子ゼロス。
そんな彼の様子に気づくことなく、クレアの視線は遠くの親子に向けられていた。


「可愛かったなぁ〜…」


小さな手で必死にしがみついて、にっこり笑う。
自分の体温よりも少しだけ高い彼のそれは、とても心地が好かった。

――どくん。どくん。

彼の鼓動が直に伝わる。
この世に生を受けたばかりだけれど、あなたは全力で‘生きている’


「……い」

「え?」

「がきんちょばっか…ずるい」


親子の姿が完全に見えなくなった今、ゼロスは構ってくれといわんばかりにクレアを抱きしめた。
まるで、大きな子供だ。

もぞもぞと体を動かして方向転換すれば、少しだけ機嫌の悪そうな蒼色と視線がかちあう。
クレアはにこりと微笑んで、ゼロスの真紅に手を伸ばした。


「だいじょぶ。私が一番好きなのはゼロスだよ」

「クレアちゃん…」

「だから、えと…。さっきはごめんね?」


そう言ってクレアは背伸びをした。
彼女の栗色がふわりと揺れると、真紅は呆然と立ち尽くす。

照れ臭そうに微笑んで、クレアは踵を地面に付けた。




(あのねゼロス…。私、赤ちゃんが欲しい!)
(!…んじゃまー、いっちょ頑張りますか)
(うん!赤ちゃん探し頑張る!)
(…赤ちゃん探し…?)


2011.08.17. 


thanks:Mr.majorca

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -