近寄ってみると、女の子は花柄のかわいらしい水着の上に、白いパーカーを羽織っている。
栗色の髪を二つに縛っていて、綺麗な青い瞳が涙で揺れていた。

コレットが女の子の前に立ち、ゆっくりとしゃがむ。女の子は、びくりと体を震わせた。


「…ひ、ぅ、だぁれ?」
「私はクレアっていうの。あなたのお名前は?」
「…ナヤ。ナヤだよ」
「ナヤちゃん?よろしくね」
「あたしはリズナ。よろしく」
「私はコレットっていうの!」
「俺さまはゼロスだ。よろしくなかわい子ちゃん」
「ひっ…!」
「え?」

「ゼロス、ナヤちゃんが怖がってる。普通に接してあげたら?」
「…あ、あぁ」
「ナヤちゃんは、どうして泣いてるの?」
「え…」


ナヤはコレットの言葉に、思い出したように辺りを見回した。
そして、大きな瞳から涙を流し始めたのだ。

涙だけではなく泣き声もつられて大きくなっていった。


「うわああぁん!?ママーッ!!」
「うおわっ!?」
「あわわわっ、どうしよう!」
「全く…。ナヤ、大丈夫。ママは見つかるよ。よしよし」
「ええぇえーん!!」
「大丈夫。一緒にママを探そう?」


おろおろするクレアたちを見て、ため息をついたのはリズナだった。そして、ナヤを抱き上げて背中を叩いてあやす。

一定のリズムにナヤは泣き声を小さくしはじめた。

泣き声が止みはじめた頃、リズナはナヤを降ろした。


「ナヤ、あたしたちとママを探そう?お姉ちゃんもお兄ちゃんも手伝ってくれるから、ね?」
「…うん!」

「ママはどんな人?」
「えと、…あ、お姉ちゃん、うんと、クレアお姉ちゃんみたいな人!」
「私?」
「確かに、ナヤちゃんとクレアの髪の色は一緒だね?」
「栗色か?瞳の色は俺さまと一緒だな」
「…っ!お、お兄ちゃんも、あおいろ?」
「そんなにびくるなよ。とって食いやしねぇんだから」
「いやいや、ゼロス。そんな上から見るんじゃなくて、屈んで目を合わせる!ナヤがびっくりするでしょう?」
「あ、わりぃ」

「クレア、ナヤと手を握ってあげて?ゼロスは左側」
「え、私?」
「俺さまもか?」
「うん。ナヤも、こっちの方が安心するもんね?」
「うんっ!」
「じゃあ、さがそっか」

「ねぇリズナ、私たち四人で動くよりも、別れて動いた方がいいよ」
「そうだね。けど、あたしたちが両親を見つけた時、場所がわからないと困るから、ゼロスたちはリフィル先生の所にいればいいんじゃない?」
「そだね!じゃあゼロス、クレア、お願いね?」
「え、え?ちょっと、」


クレアがコレットたちに声をかけようとした時には、もう二人の姿は遠くに消えていた。

ほうっとため息をついて、ゼロスの元に戻る。
ナヤがすがるようにぎゅっと手を握ってきた。
下を見ると、不安げに見上げて来る。


「お母さん、見つかるよ」
「…うん。お姉ちゃんまでいなくならないで」
「ごめんね。ゼロス、リフィル先生のとこいこっか」
「そうだな」


ナヤは二人の手を握りしめて、ついて行った。


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