「…ジーニアス、寝ちゃった」
柔らかい銀髪を撫でていると、とても落ち着く感じがした。
海ではロイドとリズナが目印をたてて競争してる。
今日、本当にここに来れて良かった。
海に来れたし、ロイドと、みんなと本当に楽しく過ごせた。
私がみんなと過ごせる夏はこれが最後だから、いい思い出ができたと思う。
私が世界再生を失敗すれば、こんな光景も無くなってしまう…。
そんなの、絶対に嫌だ。みんなには笑って生きていて欲しいんだ。
「…そうだ。人魚の伝説。…確かめに行ってきてもいいかな?」
そんなに遠くに行くわけじゃないから大丈夫だよね…?
危なくなったら戻ればいいんだもん。
一応置き手紙だけ残してっと。バスケットの下に置いて、立ち上がって、岩が連なる入り江の方へと向かった。
入り江は鋭い岩肌の岩に囲まれていて安易に触れば怪我をしてしまいそうだった。
迷路のように入り組んでいて、綺麗な貝などがある。
コレットは怪我をしないように注意しながら進んで行った。
時折桜色の貝殻などを見つけては日に透かして見た。
綺麗な海、貝殻。全てのものが初めてで、彼女はいつの間にか綺麗なものを求めて奥へと進んで行く。
そして、キョロキョロしていた彼女は気付かなかった。
不注意は事故に繋がる…。
ズルッ、
「きゃっ?!」
ドボーン!!
浅瀬が続くと思っていた入り江は、急に深くなっていたのだ。
目で見えていたはずなのに、コレットは気付くことが出来なかった。
陸に戻ろうと必死に手を動かすが、それは逆に陸から離れてしまう結果となった。
覚えた泳ぎも、焦っているコレットは前に進むことができない。
「た、助けっ、…ッ!」
声を出そうとするが出ない。ようやく出た声はあまりにも小さく、、人に届くような声では無かった。
必死でもがくが、焦れば焦るほど陸地は遠くなっていく。
「たすけっ、助けてっ!」
「ロイドー!リズナー!」
「どうしたんだろう、ジーニアス」
「どうしたんだよー!」
「コレットがいなくなったんだっ!早くきてよ!」
「えっ!?」
ジーニアスについていき、二人が見たのは、コレットが残した置き手紙だった。
《ジーニアスへ
ちょこっとだけ人魚の伝説を探しに行ってきます。すぐに戻って来るから、待っててね。入り江の方に向かいます》
「やってくれたよ…。よりによって入り江か」
「入り江ってあっちのほうだよな…、ってまさか!」
「あっちって確か急に深くなってるから立入禁止じゃなかった?!」
「…数年前に溺れた人がいるから、立入禁止になったんだよ!」
「早く行かなきゃコレットが危ない。急ぐぞ!」
「もちろん!」
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