朝日が昇り、普段は賑やかなメルトキオの街道も今は鳥達の楽しそうな囀りしか聞こえない。
少しでも早くクレアの姿を見たかったゼロスは待ち合わせの三十分も前に宿泊所を出た。
しかし待ち合わせ場所までは歩いて五分も掛からない。


(早過ぎたな…)


と欠伸をしながらゼロスは時刻までどこかで時間を潰していようと、メルトキオの城門を潜り街の外へ一歩を踏み出した。

――クレアだ。

彼女はとても楽しそうに小鳥達と戯れている。
そんなクレアの姿に見とれていると、一羽の鳥がゼロスの存在に気付いたらしくバサバサと羽音を立てて、空へと舞い上がって行った。
それを見た他の鳥達も後に続く。


「あ…ゼロス、おはよう!」

「お、おう!おはようクレアちゃん」


お互い挨拶を交わした後、クレアはゼロスの元へ駆けて来る。

――が。


「きゃっ!?」


次の瞬間クレアの身体はぐらりと傾き今にも倒れそうになる。


(危ねぇ!)


と思うより早く身体が先に動いていた。


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