「ぜっ…ゼロス様!」
慌てふためいている私をゼロスはギュッと抱き締めた。
(な…ななな何が起こっているの?)
クレアの頭はもうパンク寸前。
頬だけではなく顔全体が真っ赤に染まっている。
「クレアちゃんって温いなぁ〜」
「離して下さいっ!誰かに見られたら…」
ジタバタともがいてゼロスの腕から逃れようとするが全く離してくれる気配がない。
――その時。
「別にいいぜ?」
普段聞いている声とは違う低いトーンでそう言った。
「へ…?」
思いも寄らない言葉に何とも間抜けな声を上げてしまった。
(それって…それって…!)
「クレア、愛してる」
「!」
「俺のこと…嫌いか?」
真っ直ぐに私を見つめる蒼い瞳。
「いっ…いいえ!私も…ゼロス様のことが……」
「幼馴染みだろ?“様”なんていらねぇよ」
「で…でも…」
私が口ごもっていると
「呼んでくれねぇなら…」
と言いながらクレアの腰の後ろで結んである大きなリボンを鮮やかな手つきで解く。
それが何を意味するのか分かったクレアは
「わっ…分かりました、ゼロス!!」
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