いつからだろう。
こんなにもゼロスのことを意識するようになったのは。
整った顔立ちに真紅の髪、澄んだ蒼い瞳、いつもは明るく振る舞っているけれどふとした時に見える素の表情…。
“神子”としてではなく“ゼロス”という一人の人間に気が付いたら惹かれていた。
私はゼロスの屋敷で雇われているただのメイドの一人に過ぎないのに。


(幼馴染みではあるけど…)


彼を独り占めしたくて仕方がなくなる。


「おはようございます、ゼロス様」


屋敷の主を眠りから覚ます為、私はカーテンを開けながら言った。


「ん〜…あと五分だけ…」

「駄目です!今日は教会との大切な話し合いがあるとおっしゃっていたではありませんか」


ピシャリと言い放つ私。
あぁ…なんでこんな言い方をしてしまうのだろう。
そんなことを考えていると


「…クレアちゃん」


枕に顔を半分埋めた状態でゼロスが手招きする。
近付いていくと服の袖を引っ張られ、ゼロスのいるベッドの中へとダイブしてしまった。


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