ユミルの森中にクレアの声が響き渡る。


「ゼロス、だぁ〜い好き!」


普段は真面目なクレアが先程からこんな状態だ。
その上ゼロスに抱き付いて少しも離れようとしない。


「へいへい…俺さまもクレアちゃんのことが『だぁ〜い好き!』ですよ」


クレアの口調を真似しながらゼロスはそう答えた。

――時を遡ること数時間


「ふははははははは!とうとう手に入れたぞ幻の花カヤルコを!!」


リフィルの声が高らかに響いた。
と、同時に皆が全力疾走で逃げ出す。
遺跡モードに突入したリフィルに絡まれたら最後、何をされるか分からないからだ。
しかし、ただ一人皆に置いてきぼりにされたリフィルの隣りに立ち、


「わぁ…本当に綺麗なお花ですね」


と呑気なことを言っているクレア。


「香りも…凄く……あ…れ…?」


顔を近付けて花の香りを嗅いだ瞬間、フラフラとおぼつかない足取りになったクレアの身体をいの一番に引き返して来たゼロスが受け止めた。


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