「ねぇゼロス、戻らなくて良いの?」


ビーチとは少し離れた浜辺に二人は座り込んでいた。


「…クレアちゃんは俺さまと一緒にいるの…嫌?」


それはもう絶望のどん底にでもいるような表情でゼロスは訊いた。


「そっ…そういう訳じゃなくて…」

「俺さま、クレアちゃんと二人きりになりかったんだよね〜」

「!」


ゼロスの言葉に頬を真っ赤に染めたクレアは俯いたまま、


「わ…私も…」

「へ?」


消え入りそうな声はどうやら届かなかったらしく、ゼロスは聞き返した。


「なっ…何でもないよ!それより見て見て!」


立ち上がり、クレアが指差した先には煌々と輝いている夕日。


「…綺麗だな」

「本当に綺麗…ゼロスの髪の色と同じだね」


夕日を見ていたはずのクレアの視線はゼロスを向いていた。
そしてニコリと微笑んだ。

夕日に照らされているクレアが微笑む姿はまるで天使のようで。


「…好きだぜ、クレア」


先程よりも更に紅潮していくクレアの頬。


「私も…ゼロスのこと…好き」


赤々と燃える夕日が二人の姿を優しく照らしていた。





2009.07.04. 


thanks:Mr.majorca

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