鮮血が飛び散る。


(あれ…何で……痛くないの?)


そっと目を開けるとそこにはクレアを庇って肩に槍が貫通しているゼロスの姿が。


「ぜっ…ゼロス!」


クレアは倒れ掛かって来たゼロスの身体を支えてやる。


「クレアちゃん…無事…か?」

「ゼロス…どうしてっ…リフィル先生!は…早く、早く!!」


気が動転しきっているクレアはリフィルに助けを求めた。


「分かっていてよ…リザレクション!」


リフィルがそう唱えるとみるみるゼロスの傷は塞がってゆく。


「…サンダーブレード!」


先程まで大量の出血をしていたというのにも関わらずゼロスは魔術を発動した。
その反動で身体が後ろに傾き、既の所で再びクレアが受け止めた。


「ゼロス…?」


名前を呼んでも反応はない。


「…先生!」


クレアは目に涙を溜めリフィルに訊いた。


「っ…ゼロスは…?」

「安心なさい、少し眠っているだけよ」


リフィルは優しく諭すように答えた。


「このままでは人目に付き過ぎるわ。宿屋で…ゼロスを休ませましょう」


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