まだ笑いがおさまらないらしく、お腹を抱えたままゼロスは言う。
「クレアちゃんの寝相が悪かったから、俺さま全然眠れなかったんだぜ?」
「…ご、ごめんなさい」
「もう一回一緒に寝てくれたら許してあげる♪」
ゼロスはポンポンと自分の隣りを叩いてニコリと微笑む。
「えぇっ!?だって寝相が悪いんでしょ…」
「何で俺さまが抱き締めて寝てたと思う?」
「あ…!」
そう、ゼロスは無差別に繰り出されるクレアの攻撃を避ける為に抱き締めて身動きが取れないようにしていたのだ。
「…嫌とは言わせないぜ?」
先程まで笑っていた筈のゼロスの表情が急に真剣なものになる。
あまりにも艶やかなその姿に見惚れて返事が出来ずにいると、右腕を強く引っ張られる。
瞼を開けると間近に大好きな蒼があった。
「じゃっ、おやすみ」
そう言ってゼロスはクレアを抱き締める。
昨日は本当に眠れなかったようで、一瞬で眠りに就いていた。
(なんか私、抱き枕みたいだな…)
クレアはゼロスの紅い髪を優しく梳いてやる。
「おやすみ、ゼロス」
暗い世界も軈て朝が来る
2009.07.21.
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