言葉を交わすことはできても、向き合って碁を打つことはできても、彼に触れることは叶わない。
出会った頃は一緒にいられるだけで満足だったのに、佐為に触れたい、抱きしめてもらいたい、とどんどん欲張りになってしまう。
「…佐為」
「どうしました?クレア」
「…ううん、なんでもない」
「そうですか」
そう言って、佐為は穏やかに笑った。
我が儘や欲望という醜い思いを抱いてしまうのは、私が生きているからこそなのだろうか。
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