「ふははははは!どうだとうとう完成した!マーテルさまの器が完成したぞ!これで私が四大天使の空位に収まるのだ!」


仲間達の悲鳴を掻き消すかのようにしてレミエルが高らかに笑い始めた。そして羽毛のような羽を羽撃かせると、コレットもそれに続いた。


「待ちな!コレットをどうするつもりだ!」

「天に導くつもりなのよ」

「貴様!許せねぇ!何がクルシスだ、何が天使だ、何が女神マーテルだ!コレットを返せ!」

「そうは行かぬ。この娘はマーテルさまの器。長い時間をかけて漸く完成したマーテルさまの新たな体なのだから!貴様達にもう用はない。消えろ!」


レミエルが急降下し、一行の前に立ち塞がる。

戦わなきゃ、戦わなきゃいけないんだって頭では分かってる。でも足が言うことを聞いてくれない。私はコレットへと伸ばした手をそのままに、力無くその場に座り込んでしまった。その様子を一瞥したレミエルがこちらに迫って来る。頬を伝う涙が地面に零れ落ちた。
もう、私、このまま――。


「……?」


いつまで経っても痛みがないことを不思議に思いうっすらと瞳を開けた。そこには視界一杯の赤、ロイドの背中があった。彼はレミエルの攻撃を自身の身体で受け止めていた。傷口からぽたりぽたりと血が滴り落ちる。


「…っロイド!」


レミエルの法衣をがしりと掴み、ロイドはクレアを叱った。空いている片方の手で抜刀し、一本の剣で天使と対峙する。


「…俺達みんなで生きて帰って、コレットを救う方法がないか探そうぜ!…絶対、絶対何か別の道があるはずだから!」


瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちる。

そう、だよね…!コレットを元に戻す方法は絶対に…ある!私はゆっくりと立ち上がり、レミエルを見据えた。迷いも恐怖も、もうないよ。胸元のエクスフィアに手を翳し、瞼を閉じて強く願う。
大好きな友達を守る為に、私は戦う。


「ありがとう、ロイド」

「…ああ、行くぞ!」

「…うんっ!」


クレアは魔術の詠唱を始め、ロイドは双剣でレミエルを押し返す。しいなが背後を取り、呪符で天使の身体機能を退化させた。そこへセイジ姉弟の魔術が炸裂し、レミエルの動きが鈍った。


「私達みんなで…コレットを、助けるんだから!――プリズムソード!」


光の洗礼を受けた七本の剣がレミエルの周囲に出現した。止めどなく降り続ける剣の嵐が、羽を、法衣を引き裂いてゆく。最後の一本が紛うことなく腹部を貫通し、天使はその場に崩れ落ちた。


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