「獅吼旋破!」


ロイドが獅子の闘気を纏った強力な一撃を繰り出すと、詠唱途中であったウンディーネに直撃し、ウンディーネは強く壁に打ち付けられた。


するとその姿が水と化し、掻き消えたかと思うといつの間にか祭壇へと戻っていた。


「見事です。では、誓いを立てなさい。私との契約に何を誓うのですか」

「今、この瞬間にも苦しんでいる人がいる。その人達を救うことを誓う」


ウンディーネは優しく微笑み、頷いた。


「分かりました。私の力を、契約者しいなに」


ウンディーネの身体を包み込んだ淡い光が、ゆっくりとしいなの掌に収まった。そこにはアクアマリンの指輪が光り輝いており、彼女は丁寧な動作でそれを懐にしまった。


「やったね!しいな」


ジーニアスが駆け寄って讃辞を呈すると、コレットがしいなの掌を掬い取り、指を滑らせた。


(凄いね。おめでとう)


しいなはコレットを見、少し照れ臭そうにお礼を言うと、コレットはにこりと微笑み返した。


「よし。これで漸くユニコーンに会えるな。…コレットも、治してもらえるかも知れない」

「うん!そだねっ!」


ロイドが言うと、クレアは満面の笑みを浮かべた。ピエトロさんも、クララさんも――コレットも救えるかも知れない。例えそれが僅かな可能性ではあっても、喜ばずにはいられなかった。

クレア達が転送装置へ向かったその後ろ、リフィルが足を止めてクラトスを振り向く。


「クラトス、あなたやけに色々詳しいのね」

「精霊については、少々詳しい知り合いがいただけだ」

「…そう」


リフィルは目を細め、自身を追い越して転送装置へと向かったクラトスの後ろ姿を一瞥した。






「クレア、ちょっとよろしい?」

「何でしょうか、先生」


クレアは肩を並べていたコレットに詫びを入れ、リフィルの元へ駆け付けた。


「…腕を出しなさい」

「えっ…」


瞠目するクレアを余所に、リフィルはクレアの左腕を掴み、袖を捲る。肩から肘にかけて、大きな傷が出来ていた。


「先程の戦闘で怪我を負っていたのでしょう?」


溜息混じりに言ったリフィルが杖を翳すと、温かな光に包まれてクレアの傷は忽ちに消え去った。


「あっ…あの…」

「無理をしては駄目よ。…あなたは少し我慢が過ぎるわ、クレア」


怪我のことを黙っていた罪悪感と申し訳なさから、クレアは俯いてしまった。


「ごめんなさい、先生」

「…分かればよろしい」


リフィルは未だ俯いたままのクレアの頭を優しく撫でた。


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