「……ピエトロさん…を…助けないと…?そだね、約束したもんね」


コレットがクレアの掌に指を滑らせ、クレアがそれを読み上げる。コレットとの会話は、このような方法でしか出来なくなった。


「ねぇ、コレット…」






翌朝、クレア達一行はユニコーンが現れるというユウマシ湖へ向かった。

湖の周りにはとても衰退している世界とは思えないほど木々が生い茂り、小さな花や大きな花が各々を誇張し合うように咲いている。湖はとても澄んでおり、まるで雲一つない青空が水面に吸い込まれてしまったようだ。


「……!」


コレットがクレアの服の裾を掴み、湖底を指差す。湖の中を覗き込むと、そこには木片の下敷きになったユニコーンがいた。


「…ユニコーンに接触出来ないかしら」


リフィルが呟くと、クラトスが訊いた。


「ユニコーンの角にあるという、癒しの力を利用するつもりか?」

「ええ。ユニコーンの角さえあれば、ピエトロさんだけでなく、コレットやクララさんも助けられるかも知れないわ」

「本当ですか!?」


リフィルの言葉に、クレアは喜々として声を上げた。クレアだけでなく、他の仲間達の顔にも希望の光が差し込んだ。


「それなら、何とかしてユニコーンに近付かないと……」

「潜れないかな?」

「息が続かないよ、きっと」


ロイド、クレア、ジーニアスがしゅんと落ち込む姿を見て、しいなは口を開いた。


「…方法は、なくはないよ」

「どういうことかしら」

「こっちの世界にいるはずの…ウンディーネを召喚して、水のマナを操れば良いのサ」


しいなの語り口に、リフィルは眉を顰める。


「召喚士は途絶えて久しいと聞いていたけれど」

「あたしは符術士だよ!…召喚も出来るけどサ。どうするんだい?嫌ならあたしも無理にとは…」


しいなの言葉を遮るようにして、ロイドが言う。


「いや、ユニコーンの角は必要なんだ。頼むよ、しいな」






ウンディーネとの契約を目的に、一行は再び《水の封印》――ソダ間欠泉を訪れることとなった。


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