「クヴァル、見つけたぞ!」


ロイドが威勢良くクヴァルの元へ駆けると、ホログラムに映る妖艶な女が、ロイドを一瞥する。
女は緑色の髪に露出の多い服を身に纏っており、その身体を包むようにして、黄金色の盾がマントのように浮遊している。


「それがロイドかえ?成程、面影はあるのぅ」


その酷く冷えきった視線に、ロイドは身体が強張るのを感じた。


「話を逸らさないで欲しいですね、プロネーマ!あなたが私の元から、エンジェルス計画の研究データを盗み出したことは明白なのですよ」


プロネーマと呼ばれた女は、葡萄色の唇に微笑みを浮かべる。


「そなたこそ、ロディルの口車に乗って何か企んでおるようじゃが、ユグドラシル様の御目、そうそう誤魔化せると思うでないぞぇ」


通信が途切れ、ホログラムから女の姿が消える。


「魔導砲のことが漏れたのか?…まあ良い」


クヴァルは独白した後に、漸く一行を振り返る。


「そのエクスフィアを取り返せば、嫌疑など晴れるでしょう!」


クヴァルが掌を一行に向けると、先端が円刃になった一本の杖が現れた。


「…やらせるかっ!」


ロイドは双剣を、クラトスは長剣を抜刀し、コレットはチャクラムを構え、クレアは母親の形見であるエクスフィアに手を翳す――。


「行くぞっ!!」


ロイドの掛け声が合図となり、戦闘が開始した。


「魔神剣・双牙!」


双剣を振るうと、地を這うようにして衝撃波が出現し、クヴァルを一直線に目指して行く。


「降雷撃」


クヴァルが杖で『突き』を繰り出すと、激しい稲妻が降り注ぎ、衝撃波を掻き消した。焼け焦げた床からは濛々と煙が立ちこめ、クヴァルの姿は煙に紛れて見えなくなる。


(くそっ…これじゃあ相手の姿が見えねぇ!)


ロイドが悪態をついたその時、クレアの声が響き渡る。


「エアスラスト!」


風の刃が煙が切り裂き、視界が開ける。すると、クヴァルは術の詠唱を終えていた。


「…スパークウェブ!」


クレアを包むようにして、電撃を纏った空間が作り出される。魔術が発動する前だというのに、身体に痺れを感じた。


(…逃げられない!)


きつく目を瞑った時、誰かに強く腕を引かれた。


その直後に激しい轟音。まともに喰らっていたら感電死していただろう。


「クレア、だいじょぶ?」

「コレット!ありが…っ!?」


クレアは瞠目した。何故なら、コレットの真後ろにクヴァルの姿があったから。彼は杖を大きく振りかぶり、勝利の笑みを唇に浮かべている。


「――死になさい」


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