しいなが庇った老人がルインの祭司長だと判明すると、一行はマナの守護塔の鍵の提供を求めるが、どうやらクララが持ち去ってしまったらしい。

コレットやロイド、クレアの意見もあり、封印解放よりも先に人間牧場への侵入を試みる。






「凄い警備だね。この前とは比較にならないよ」


繁みに隠れて辺りの様子を見回すなり、ジーニアスが呟いた。


「方法はない訳ではないけど…」

「一体どうするん…きゃうっ!」


その時、足を躓かせたクレアが一人繁みの外へと飛び出してしまい、運悪く見張りのディザイアンに見つかってしまう。


「侵入者だな!」

「…ったくもー」


そう言ってロイドは一人、武器を構えて繁みから飛び出す。


「魔神剣・双牙!」


転倒したクレアを庇うようにして衝撃波を放つと、突然の不意打ちに反応しきれなかったディザイアンはその場に崩れる。


「一旦ルインに戻りましょう。ここではいつ敵に見つかるか、分からなくてよ」

「…?」


コレットが首を傾げると、リフィルは気絶したディザイアンを繁みへと引き摺り込み、身包みを剥した。






「狡いぞ、先生!」

「狡くなんてありません。これが一番自然なはずです」


ディザイアンから奪った制服を、現在はリフィルが身に纏っている。
リフィルが思い付いた作戦とは、ディザイアンとそれに連行されている者に扮装し、牧場内に侵入するというものだった。


(あの暗殺者に任せる訳にはいかないし、コレットもクレアも、この役回りは向いていないでしょうからね…)


「とにかく、行きましょう」






「止まれ!」


ディザイアンに扮したリフィルに連行され、一行が巨大な門へ近付くと、見張りのディザイアンに呼び止められる。


「やったぞ!手配書にあるロイド・アーヴィングを見つけた」

「何!?…しかも生け捕りか!よし、通れ」


リフィルが言うと、見張りのディザイアンは喜々として声を上げ、微塵も疑わずに門を開けた。






斯くして、一行は牧場内への侵入に成功し、工場のような施設を見渡すことが出来る、巨大な投影機が設置された一室に辿り着く。


「ここは、エクスフィアの製造所なのね」


投影機の映像を見るなり、リフィルは呟く。


「これが全部、エクスフィアか。すげぇなぁ…」


ロイドが感嘆の声をあげると、コレットが耳をそばだてる。


「…しっ。隣の部屋から、声が聞こえる」


コレットの注意に一行が身構えると、扉が開き、やって来た人物と鉢合わせになる。


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