「アリシア…。私やっと…自分を取り戻したわ。やっと時間が動き出したの。あの十六年前の夜から。ねえ信じられる?私、28歳になったのよ」


体は子供のままなのに、私は28年間生きてきた。
時間に置き去りにされてしまった私は、心の成長がそれに追いつかない。

おかしいね…。


「アリシアと…話していたのか?」

「…はい…」

「先程、鉱山の一部を破壊した。これで…新たなエクスフィアが採掘されることはないだろう」

「よかった…」


エクスフィアは寂しさのあまり人に寄生し、その命を奪ってしまう。
私はエクスフィアに、時間と感情とを奪われた。


「リーガルさんは、これからどうするのですか?」

「我が社の総力を持って復興に協力する。新たな世界作りの為に」

「私も…協力します。アリシアもパパも…きっとそれを望んでいると思うから…」


その時、優しい風が二人を包んだ。
アリシアが笑ってくれているのだろうか。

プレセアとリーガルは、天を仰いだ。


*prev top next#

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -