「ちょっと待ってよ。デリス・カーラーンってのは、マナの塊なんだろ。でもって《大いなる実り》は、大樹の種子なんだよね。どっちも持ってかれたら、世界はどうなるのサ?」
「マナ不足で滅びます。確実に」
「世界統合どころの騒ぎじゃないよ!」
「なーに言ってんだお前ら!大事な仲間がさらわれたんだぞ!おいロイド、どうするんだ!」
わずかに残っていた花片が、再びクレアの体を蝕んだ。
彼女の胸元で光り輝くエクスフィアが、再び黒く濁り始める。
だがこの状況では、本人すらその異変に気付くことが出来なくて。
「決まってる!ミトスを追いかけるんだ!」
「しかし…《救いの塔》は崩壊したのだぞ」
「エターナルソードだ。お前が真にオリジンと契約を交わしたなら、エターナルソードは必ず応える。その時間と空間とを操る強大な力で…」
「しかし、アルテスタは起き上がれまい。契約の指輪は誰が作るのだ」
ロイドの脳裏に、大きな背中が思い浮かんだ。
あたたかくて優しくて真っ直ぐで、道を間違えたら必ず叱ってくれる――ロイドの父親。
「…親父だ!」
「ダイクおじさん!?」
「ああ。親父に賭けるしかない。シルヴァラントへ行こう!」
「待て…」
ウィングパックを手にしたクレア達一行を呼び止めたのは、鋭い鳶色。
大きな鳶色を見据え、彼は言う。
「私も…行かせてもらう」
反対する者は一人もなく、クレア達一行は静かに頷きあった。
to be continued...
(11.04.08.)
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