「おう。俺さまは今、不機嫌だぞ」

「な、何だよいきなり」

「どーも気に入らねぇんだ。クラトスがよ」


眉間に皺を寄せながら、ゼロスは言った。
いつもと違う声色から、表情から、彼が真実不機嫌であることが窺える。


「ごめん…」

「ロイドくんが謝るこたーねーだろ」

「うん…そうだけど…」

「まあ、息子だもんな。でもよ、てめぇの決意を息子に託すってトコが、どーも後ろ向きっつーか責任ねぇっつーか…」


親は子供を守るものだと、そう考えているから。

だからこそゼロスは、クラトスの行動が気に食わないのだろう。


「ロイド。答えに悩んだら、俺さまとっときの呪文でも唱えろよ」

「とっときの呪文?」

「なるようになる、だ」


複雑な想いが、ロイドの頭の中を錯綜する。

結果を出さければいけないと、分かっている。
ここで迷っていては、クラトスに勝つことなんて出来ないだろう。

彼との決着が、すべてを握っているのだから。


「ロイド、だいじょぶだよ。あのね、私、運がいいの。必ず死ぬはずの《神子》だったのに、ロイドのお陰で、こうして生きてるもの」

「うん…」

「私は、ロイドやみんなが悲しいと悲しくなるもの。だからきっと、私が悲しくならない為にも、ロイドは悲しい目には遭わないよ」

「お前、楽天的だなぁ」


いつだって、彼女の優しさに救われた。
悲しみを押し殺して、誰よりも強くてあろうと前を向き続けて。

彼女の優しさに、強さに甘えていたんだ。


「えへへ、ごめんね」

「謝るなよ。…ありがとな」

「ううん。こんなことしか言えなくて…本当にごめんね」


仲間達は、それぞれの想いをロイドに伝えた。
どんなに逃げようとも、明日は必ずやってくる。

果たして、彼の選んだ答えは――。














to be continued...

(11.04.07.)


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