「汚点はすべて、取り除いてくれようぞ」


プロネーマが杖を掲げると、彼女の隣に二体のモンスターが現れた。
巨大な鎌を手に二足歩行する様子から、一見人間にも見える。

だがしかし、純白の羽をもつ者を天からの使者だというなら、イドゥンと呼ばれるそれは、差し詰め闇からの使者というところだろう。


「みんなを守って――」


心に願えば、クレアのエクスフィアが強く煌めく。
魔術を発動させる為、彼女が媒体とするものは…自身の‘心’

強く願えば願うほど、その威力は高まるのだ。


「フィールドバリアー!」


あたたかな光がロイド達を包むと、体の奥深くから力が沸き上がるような感覚が。
リフィルが唱えた『アグリゲットシャープ』の効果も合わさって、ロイド達の身体能力は最大限に発揮される。


「牙狼連濤打!」


三散華から足払い、そして対空攻撃へと流れるような足技が炸裂する。
イドゥンがのけ反った先にはプレセアが、巨斧を構えて待っていた。


「――獅吼滅龍閃!」


斧から発せられた『気』が、イドゥンを襲う。
鋭い牙を剥いた獅子は、敵の四肢を引き裂いた。

塵となって消えたその反対側では、ジーニアスの魔術『グラビティ』により、もう一体のイドゥンも、同じように倒れていた。

残るはプロネーマのみ。


「光よ――フォトン!」

「くっ…!」

「蛇拘翔符!」


ロイドの頭上に振り翳されたプロネーマの腕を、眩い光が捕縛する。
一旦距離を置こうと後退した彼女の動きを、漆黒の大蛇が封じた。

クレアのエクスフィアが、一際強く瞬く。


「聖なる槍よ――」


ロイドの双剣に光が宿る。
クレアの力と彼女の母親、そして大切な仲間の力を感じて、ロイドは強烈な突きを見舞った。


『貫け!グングニル!』


巨大な槍と化したロイドの双剣。
貫いた箇所から眩い光が溢れる。

プロネーマの姿は、光に紛れて見えなくなった。


「ユグ、ドラシルさま…申し訳、ありませぬ…」


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