倒しても倒しても次々に現れる天使達。
クレア達一行の戦闘能力をもってしても、これでは切りがない。
一刻も早くコレットを助けに行かなくては。
背後に迫る天使に気付かず、クレアは詠唱呪文を唱え続ける。
天使が一振りした大剣を受け止めたのは、頼もしい応援だった。
「おろち、さん…?」
「投げ文があった。お前達が最後の戦いに挑もうとしていると。この場は引き受けた。コレットが攫われたのだろう?」
「ありがとうございます!」
クレア達一行は、決して一人で戦っている訳ではない。
今回、塔への侵入ルートを教えてくれたユアンやミズホのみんなの協力があったから、ここまでやってくることが出来た。
転送装置に跨がったクレア達一行。
コレットの救出に、ゼロスの真意を確かめに、世界の再生に、向かった。
(…これは…)
転送された先は、以前マナのかけらを手にして走っていた場所ではなかった。
塔の外装を見る限りでは分からなかったが、内部には暴走した大樹の面影が残っている。
樹木の根に覆われ、所々が崩壊していた。
「相談があるのだけれと」
「…私にか」
「あなたが一番、冷静そうだからよ」
最後尾を歩いていたリーガルに、リフィルが並ぶ。
前を行くクレア達に気付かれないよう、声を落として彼女は言った。
「…この先は危険だわ。命の優先順位を決めておかなくては」
「なるほど。ロイドが聞いたら怒り出しそうな話だな」
命に優先順位なんてないと、赤色の少年はそう言うのだろう。
ひたむきで純粋で汚れを知らない。否、この旅で彼は世界の、人間の汚ない部分を知っただろう。
それでもロイドは汚れない。いつだって太陽のように眩しく、我々の進むべき道を指し示すのだ。
「ロイドは…死守しなければ。最終決戦で未知の力を持つミトスと対峙するには…」
「ロイドの…特別だというエクスフィアか」
「ええ。それがどんな力なのか分からないけれど、勝算のある方へかけるべきだわ」
「…承知した。ロイドを守ろう。我々の手で」
塔の奥深くへと進む度に、クレアは胸の奥が締め付けられるような感覚に陥った。
けれどここで仲間に迷惑をかける訳にもいかず、痛みを打ち明けないまま通路へと走る。
大きな岩に絡まった根がソーサラーリングの炎で朽ちてゆくのを最後に、クレアは意識を手放した。
to be continued...
(11.03.29.)
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