太陽は、とっくに昇っていた。

治療にあたっているリフィルの邪魔にならないよう、クレア達一行は扉の向こうから彼女が現れるのを待つ。


「アルテスタさんは…大丈夫でしょうか」

「ユニコーンの角で何とか応急処置は済ませたけれど、なるべく早く医者を連れて来た方がいいわ」

「あたし、いい医者を知ってるよ。うちの頭領が重傷を負った時フラノールから呼んできたんだ」


しいなの案内で、クレア達一行は《雪景の街 フラノール》へと向かう。

雪景の街と呼ばれるだけあって、この地方は年中雪が降り続いているらしい。
はらはらと舞う結晶が街を、景色を、視界すべてを白に染める。

レアバードを収納し、クレア達一行は医者の元へと走った。


「では、成功報酬としましょうか。まずは患者を診てからです。それから出張費と、最近は物騒ですから危険手当も別途請求しますよ」

「…っ、勝手にしろ!」

「では…あなたとあなたとあなた。それと、しいなに案内を頼みます」

「ロイドのレアバード、借りてくからね」


医者からの指名で、リーガルとセイジ姉弟としいなが、アルテスタの元へ向かう。
レアバードという足がなくなったクレア達は、大人しくフラノールで待機することに。

しいならが飛び立つのを見送って、残されたメンバーは宿のある街の入口へと向かった。


「…あれで……の指輪を作る…か。俺に…出来るのか…?」

「ゼロス!」

「!」


クレアの声に、ゼロスは顔を上げる。
心配そうに顔を覗けば、彼は蒼色の瞳を細めてへらりと笑った。


「あ、あれ〜?クレアちゃん達、遅いじゃないのよ。宿の予約ならとっといたから」

「ふーん…。お前にしては気が利くな」

「でしょー!ちなみにロイドくんは一階で、女の子と俺さまは二階ね♪」


ゼロスの笑顔に、コレットらは思わず苦笑する。
こんな非常時でも、ちゃっかりしているのがゼロスなのだ。

しかしクレアは、先ほどのゼロスの様子が気になって仕方がない。
けれど直接尋ねる訳にもいかず、胸のもやもやが増えていくのだった。














to be continued...

(11.03.20.)


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