「…まだ生きてるのか、俺達」

「コレットちゃんを治療する準備が整うまでは、命があるみたいよ。あのままじゃ、使えないんだとさ」

「嵌められたのかもね。コレットを治療する為の道具をボク達に揃えさせて、それからここに連れて来れば、あいつらも手間が省けるでしょ」


クラトスは、その為にクレア達一行の進むべき道を示唆したのだろうか。
善意ではなく、同情した訳でもなく「コレットを使う」その為に、ロイドの、否、一行の気持ちを利用した。
そういう、ことなのか?


「俺は、また騙されたのか…?」

「ロイド…」


いつか、ゼロスに「信じて痛い目を見たらどうするのだ」と、投げ掛けられた覚えがある。
その時ロイドは、クラトスを信じると言った。

クラトスは特別な気がすると、そう思ったから。


「…我々はともかく、コレット達が気掛かりだな」


ロイドら男性陣を囲む牢屋は、頑丈に出来ておりカギも開けられそうにない。
コレットら女性陣が隣にいることは分かっているのだが、彼女達の力でも牢屋を、カギを壊すことは出来なかった。

このまま敵の意のままになってしまうのか。誰もが八方塞がりだと思った、その時。


「…退け」


背後から並々ならぬ気配を滲ませたのは、いつも以上に真剣な表情のリーガルだった。
その雰囲気に気圧され、ロイドは素直に後退する。

呼吸を整え、彼の濃青の瞳が前を見据えた。


――ゴオオオオ…!


手枷の嵌められた両手から、マナとは違う何かが分厚い柵を突き破る。
ロイドが押してもびくともしなかったはずなのに、彼の発した「それ」はまるで、紙を燃やす炎のように、いとも容易く破壊した。

にわかには信じられないその光景に、ロイドらは思わず目を見張る。


「す、すごい…!」

「どうしてこんなことが出来るんだ?」

「私は元々、足より手を使った攻撃を得意としていた。エクスフィアは装備者の能力を最大以上に発揮させるもの。…当然の結果だ」


牢から救出する際、我先にクレアの手を引いたゼロス。
女性陣の誰もが傷一つ負っていないことを確認し、彼はこう言う。


「だったら、最初から手で戦えばいいじゃねぇか」

「…私は、二度とこの手で戦わないと誓った。今回は、ロイド。お前を助ける為の行為だ。世界を統合してコレットを救うのだろう?」


リーガルの言葉に、ロイドは力強く頷いた。














to be continued...

(11.03.09.)


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