「クルシスのユグドラシルが…勇者ミトス?その仲間が、マーテルにユアンにクラトス…?そんなバカな!」

「クラトスさんは、四千年前の勇者の仲間…なんですか?」


しかしクラトスは「人間」だと、五聖刃フォシテスは言った。
それに、エルフやハーフエルフとてそこまで長命であるはずがない。


「天使とは、カーラーン大戦で開発された戦闘能力の一つだ。これは体内のマナを使い一時的に身体を無機化することで、体内時計を停止させる。おかげで天使は年を取らない。エルフよりも長命となった訳だ…」

「種の寿命を超えて長く生きることは…あまりよくないと…私は思います」


だとすると、クラトス達は『四千年』という途方もない年月を生きてきたことになる。
人は、いつか自分に迫り来る‘死’があるからこそ、精一杯人生を全うしようと、生きようとするのではないだろうか。

老いる恐怖もなく、ただ時間だけが過ぎる…。
経験のないクレアには想像するしか出来ないが、考えただけでも「恐ろしい」


「もう何が何だか…俺には訳が分からない」

「そうか?はっきりしたことがあるじゃねぇか。世界を二つに分けたのは、オリジンの力が影響してるってな。魔剣…それがキーワードだ」

「その通りだわ。本質を見失わないようにしなければ。私達の最終的な目標は、二つの世界を救うことだったはずよ」

「そうサ。大樹カーラーンを発芽させることには失敗したけど、世界をあるべき姿に戻せば…」

「少なくとも、マナを搾取しあう関係だけは改善出来よう」


片方の世界が繁栄すれば片方の世界が衰退する。
二つのうちどちらかしか幸せになることが出来ない砂時計のような世界の仕組みは、何が何でも変えなくてはならない。

仲間達の言葉に、ロイドは頷いた。


「…そうだな。みんなの言う通りだ」

「ありがとうございました。色々教えて下さって」

「…あなた達に、大樹カーラーンの加護がありますよう」


そうしてクレア達一行は、語り部の住む小屋を後にした。


「あとはマナのかけらだな。本当にデリス・カーラーンにあるのかな…」

「オリジンの魔剣のことも気になるわ。それが、世界を救う手がかりになるかもしれなくてよ」

「しかし…危険だな」

「虎穴に入らずんば虎子を得ず、じゃねーの?教典によると、確か《救いの塔》が入り口になってたはずだぜ。それと、あそこに行くには俺さまの《クルシスの輝石》が必要だからな」


以前シルヴァラントで、コレットから聞いたことがある気がする。
「《救いの塔》のカギの役割を果たしているのは、神子の輝石だ」と。


「そっか。お前も《クルシスの輝石》を持って生まれたんだよなぁ」

「そーゆーこと。今は妹に預けてある。トイズバレー鉱山の南東にある修道院だ」


かくしてクレア達一行は、《クルシスの輝石》を預かっているというゼロスの妹の元へ向かうことになった。


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