「コレットさんの身体は…どうなってしまっているのですか?」

「永続天使性無機結晶症…と書いてあるわ。アルテスタの診断通りね。全身がクルシスの輝石になってしまう病気なんだわ。それと…あまり時間はなくてよ。永続天使性無機結晶症は、最終段階の皮膚結晶化の発症から、およそ数ヶ月で全身が輝石になるようなの。完全に皮膚が結晶化すると、次は内蔵器官が輝石化して最終的には…」

「…死ぬんですね」


コレットの言葉が、その場に重くのしかかった。
仲間の誰よりも、彼女は自分の身体の異変に気づいている。
それ故、どのような結末が待っているのかも大方予想がついたのだろう。


「取り繕っても仕方ないわね。その通りよ」

「だったら急ごうぜ。可愛い子はより長生きしなくちゃなぁ」


《ルーンクレスト》を作成する為に必要な材料は、ジルコンとマナリーフとユニコーンの角。
ジルコンは以前、リーガルが取り仕切るレザレノ・カンパニーで扱っていたらしい。レザレノの本社に行けば、資料と在庫の保管場所が分かるだろうとのこと。

次にマナリーフだが、こちらは恐らく《エルフの里 ヘイムダール》にあるとリフィルが言う。
かつてヘイムダールに住んでいた時、その名を聞いたことがあるそうだ。

最後に、マナのかけら。これについての情報は、コレットとクレアが握っていた。


「…マーテル教の教典にこんな一文がありました」

「母なる大地デリス・カーラーン。その巨大なるマナは地上にそれらをかけらと降らせ、ありとあらゆる命を生み出した」

「…つまり、デリス・カーラーンにあるってことか?」

「確証はないけど…」

「敵の本拠地か…。そっちは後回しにしよう。まずはレザレノ・カンパニーかヘイムダールだな」


ヘイムダールは現在、エルフ以外の者の立ち入りを禁じているらしい。
昔、人間との間にいざこざがあったのだとゼロスは言う。

また、その為に今ではテセアラ王の許可証を持つ者だけが入場を許される。
つまり、ゼロスの顔を見たくないと宣ったテセアラ王を説得しなければならないのだ。

この二つの点から、クレア達一行はまず、レザレノ・カンパニー本社があるアルタミラへと向かうことになった。


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