四千年前の勇者ミトスの仲間に、体中が結晶化する病になった者がいた。
その者は無事に治療されたらしいのだが、肝心の治療法の項目には「ユニコーンが乙女を救った」とだけ。
しかし、ユウマシ湖で手に入れたユニコーンの角だけでは、コレットの病を治すことは出来ない。

もしや、ユニコーン自身が必要なのだろうか。


『ユウマシ湖での、ユニコーンの言葉を思い出せ』


クラトスの言葉が、クレアの脳裏に蘇った。
確かあの時ユニコーンは「マーテルの病を治す為に生かされている」と、そう言っていたような気がする…。


「クラトスの、言葉通りだ…」

「え?」

「私に『コレットを救いたいなら、古代大戦の資料を調べるといい』とか『ユニコーンの言葉を思い出せ』って、教えてくれたの…」

「クラトスさんって…一体何者なのかな」


クレアに治療法の手がかりを伝えたり、一行の進むべき方向を幾度となくほのめかしたり。
彼は、クラトスは一体何を考えているのだろう。


「何者もへったくれも、結局は裏切り者だろ?信用しちまって、後で痛い目見たらどーすんのよ」


確かに今回の件も、コレットを治療させた方がクルシスにとって都合がよいのかもしれない。
だからクラトスは、一行の進路をそれとなく指し示す。
そうとることも出来なくはない。

むしろ、その可能性の方が大きいのではないだろうか。

しかし、ロイドは――


「…俺は、クラトスを信じる。あいつは…何か、特別な気がするんだ」

「ロイド…って、強いんだね。一度は裏切られた人を信じることが出来るなんて、すごいよ。ボクは…ロイドが羨ましい…。…ロイドみたいに…なれればよかった…」


どこか悲壮感を漂わすミトスの横顔に、クレアは違和感を感じた。

儚く、それでいて脆い。

触れたら壊れてしまいそうな、どこか危なげな雰囲気を醸し出していた。


「だめだめ。ロイドみたいになったら、ミトスがバカになっちゃうよ」

「あのなー!お前なー!」


くすくす。
いつかも見たことがあるこのやり取りに、ミトスは声を上げて笑う。
すると、先程までの儚さや危うさは微塵も残らず消えてしまった。


「うん…本当に羨ましいや」


憤慨するロイドと、それを見てきししと笑うジーニアス。
そんな二人を見て、ミトスは呟いた。














to be continued...

(11.03.01.)


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