「…そうじゃったか。クルシスの天使さまが…ハーフエルフじゃとは…」

「…このことは…みんなに言わないでくれ、ばーさん。きっと混乱して、大変なことになっちまう」

「そうじゃな。…救いの塔も消えてしもうたし、今、そんな話は出来まいよ…。あの大地震の後…といっても、イセリアに大きな被害はなかったのじゃが、とにかく、東の空を見たところ…巨大な化け物と共に、塔も消えていたんじゃ」

「元々神子は、再生の儀式を完全には済ませていない。塔の出現を司る、クルシスのコアシステムに、狂いが生じたのだろう。実害はない」

「いえ…シルヴァラントの民にとっては、大きな打撃よ。大地震で大地が切り裂かれた上、救いの象徴が消えたとなれば…神子の責任が追及されるわ」


今までの神子は、世界再生の失敗と共に、命を落としている。
故に、責任の追及をされることはなかった。

しかしコレットは、生きて、ここにいるのだ。


「…人は…傷つき疲れた時、誰かに責任を押し付けずにはいられぬのだな…」

「コレットさんが…可哀相です」


世界中の期待を背負って、コレットは旅に出た。
死ぬ為の旅だと分かっていても、世界の為なら、大切な人の為ならと、常に前を向いて歩いた。
段々と人間ではなくなっていく恐怖で、肩を抱いた日々もあるはず。

だけど彼女は強いから。
否、強くあろうと願うから、仲間達の前では、気丈に振る舞っていた。

最後の最後まで、自分の気持ちを押し殺して、世界の為に身体を捧げた。

もう一つの世界、テセアラまで行って、失った心をようやく取り戻した。
なのに…その心が、再び傷つくことになるかもしれないだなんて。


「…村の様子を見てくる」

「ボクも」

「じゃあ、みんなで行こうや。話を聞いてると、ロイド達だけで歩くのはやばそうだ」

「私は…ここに残る。行ってくるがいい」


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