「…コレット。何とか、おさまったみたいだぜ」
「こんなの、気持ち悪いよね?…こんなの、変だよね?…こんな…こんなの…」
今にも泣き出してしまいそうなその顔に、精一杯の笑みを浮かべる。
大切な仲間に、心配をかけたくないから。
好きな人に、嫌われたくないから。
だからコレットは、無理矢理微笑みを浮かべる。
「気持ち悪くなんてないよ」
だが、ロイドのその言葉が合図となり、コレットの頬を透明な雫が伝う。
幾筋も、幾筋も。
ぽろぽろ、ぽろぽろと。
ロイドが、見た目や成り立ち、種族なんかで人を見ないってこと、痛いぐらいに理解している。
だけど、
「…来ないで!」
だけど…
「…見ないで!」
だけど――
「コレット!」
「…大丈夫。気を失っているだけよ。村へ…連れていきましょう」
「イセリアへ!?ボクとロイドとクレアの三人は、追放されてるんだよ!」
「コレットの家はイセリアにあるのよ。それに…牧場に収容されていた人達を、ここに置いておく訳にはいかないわ」
「…そうだな。イセリアへ…行こう」
気を失ってしまったコレットを抱え、ロイドは言った。
出ていけと、口々に囃し立てる村人達の声。
侮蔑するような、冷たい眼差し。
憎しみの篭った罵声と視線が、三人の脳裏に蘇る。
「…では、しいなはイセリアへ戻らせる。ではな」
ぷつん。と、ユアンとの通信が途絶えた。
一行が目指すのは《神託の村 イセリア》――。
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