「待て!」
最後の楔を抜く為、マナの守護塔にたどり着いたクレア達一行。
最上階へ向かう転送装置が目前に迫ったその時、かつての仲間、クラトスが立ち塞がった。
五人掛かりで臨んでも、勝てなかった相手だ。
数ではこちらに分があるといえど、彼の力は未だ計り知れない。
こんなところで、力を使う訳にはいかないのに。
クレアの額に、一筋の汗が流れた。
「デリス・カーラーンのコアシステムが、答えを弾き出した。すべての精霊と契約をすれば《大いなる実り》の守護は、完全に失われてしまう!」
「それこそ我らの願うところだ!」
「!」
クレアの横を、なにかが通りすぎていった。
クラトスに命中することなく壁に突き刺さったそれは、以前ロイドやクレアに向けられたものとは比べものにならないほど、マナの密度が高い。
マントを翻し、一行の背後に姿を現したのは、レネゲードの党首ユアン。
「分からないのか!お前の望む結果は得られん!」
「黙れ!この機会を逃すと思うか!…ロイドよ、こいつの相手は私に任せろ。お前達は一刻も早く、光の精霊との契約を済ませるのだ!」
「…ああ!」
転送装置に跨がったクレア達一行は、ルナとアスカの待つ最上階へと向かう。
一行の姿が見えなくなったことを確認すると、ユアンの手中に、彼の身長ほどあるだろう、槍のような両刃刀が出現した。
ユアンとクラトス。二人の力は、恐らく互角。
同時に地を蹴り、刃と刃が交じり合った。斬撃が塔一帯に響き渡る――。
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