「ミトス、これ…」
「これは…?」
「リンカの実で作った笛だよ。よかったら、これをミトスに貰って欲しいんだ。ボク達のせいで、ミトスのお姉さんの形見、壊れちゃったから…」
「…ありがとう!」
「お姉さんの笛とは、違うかもしれないけど…」
壊してしまったミトスの笛とは、違う。
けれど、一行の想いが詰まったその笛を、ミトスは優しく包み込んだ。
「ううん。みんなの気持ちが嬉しいんだ。だって、リンカの木は絶滅しちゃってるはずなのに…」
「ミトスって、本当に物知りだよな」
一行が苦労して手に入れたリンカの木の情報も、ミトスは知っている。
学校に通っていた訳でもないのに、独学でここまで学んだというのだ。
リフィル並の――否、彼の知識は底が知れない。
「ホントだよね。ロイドの代わりに、一緒に来てくれればいいのに」
「…おい。それはどーゆー意味だ」
くすくす。
ミトスが、ふわりと微笑んだ。あたたかく、優しいその笑みはまるで、穏やかな天使のようだ。
「ボク、協力出来ることがあったら何でもするよ。いつでも声を掛けて」
「うん。ありがとう、ミトス!」
別れを告げたばかりだから、気まずい雰囲気になるかと思っていた。
だけど、やっぱりミトスは優しい。
ボク、ミトスと友達になることが出来て、本当によかった…!
「ボク達、離れていてもずっと友達だからね!」
「ジーニアス…ありがとう…!」
残すは、ルナとアスカと契約を交わすのみ。
そうすれば、世界は再生される。シルヴァラントもテセアラも、同じように豊かになるだろう。
‘真の世界再生’それは、ボータ達の最期の願いでもあるのだから…。
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