シルヴァラントへ戻り、火の精霊イフリートと、風の精霊シルフと契約を済ませたクレア達一行。
残る最後の楔は、闇の精霊シャドウと光の精霊ルナとアスカが守護する、マナの流れ一つだけ。

アスカを捜索しなければならない手間を考え、闇の精霊シャドウとの契約を優先する。


「真っ暗だねぇ…」

「闇の精霊の力のようね。この辺りに強く影響しているんだわ」

「これじゃあ、先に進めないよ…」


闇の神殿は、すべてが漆黒に覆われ、このままの状態で進むことは困難だ。
自身らが指名手配されていることを改めてリフィルに釘刺され、人目を避けながらメルトキオの精霊研究所へと向かった。

しかし、そこで思わぬ人物と鉢合わせすることになる。


「クラトスっ!」

「神木は…オゼット近隣にしか生息しないと聞いたが、間違いないか?」

「は…はい…」

「では、もう神木は存在しないことになるな」

「…私が伐採したものが、教会に納められています」

「やはりそれだけか。…やむを得んな」


ロイドなど、まるで視界に入っていないかのように、クラトスは、プレセアから神木の在り処を聞き出す。
予想通りの答えが返ってくると、彼はマントを翻して一行に背を向けた。
どうやら、コレットを狙ってきた訳ではないらしい。


「待てよ!クルシスの連中が、どうして神木のことなんかを気にするんだ」

「必要だからだ。…他に理由があるか?」

「何の為に!」

「今のお前に話す必要を感じない。それよりも、お前達が行っている精霊との契約は…やめるのだな。どうなってしまうのか、予測の出来ない行為は危険だ。取り返しのつかない事態になるやも知れぬ」

「それでも、世界を同時に救う方法が他にないなら、やるしかないんだ」


ロイドの真っ直ぐな瞳が、クラトスの背中を捉える。
そう、世界を救う方法はそれしかないのだ。なにが起こるか予知出来ない、というクラトスの意見は的を射ているが、ここで引き下がっては、大地が滅びてしまう。
そうなれば、クルシスの思惑通りだ。

彼は、クラトスは、一行の敵なのだから。


「…焦るなよ、ロイド」


そう言い残し、クラトスは姿を消した。
出会い頭の挑発的な態度とは違い、まるで、生徒を諭す教師のようだ。

また、なにかを示唆しているようにも、思えなくはないが…。


「…どういうことだ?」


クラトスの真意は、クラトス本人しか分からない。


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