「約束だ。鉱山はくれてやる。だからアリシアを返してくれ!」
「…ああ、返してやる!あんな失敗作は、こっちから願い下げだ!」
ヴァーリが指を鳴らす。
すると、緑色の巨体がリーガルの目前に現れた。
引きずるほど長い両腕に、鋭い鉤爪。
所々焼け爛れた肌の、頭と思われるその中央に、エクスフィアが埋め込まれていた。
――エクスフィギュア。
マーブルやクララ、ロディルと同じく、久方ぶりに再会したアリシアは、人でなくなっていた。
「…こ、これは…」
「これがアリシアだ!こいつはエクスフィア実験に適合しなかったんだよ!こいつの家族ではうまくいってるのに、何がいけなかったんだ…」
『リーガル、さま…。私を…殺して、下さい…』
言葉とは裏腹に、アリシアはその長い両腕をリーガルに向けて振るう。
制止をかけようにも、身体がいうことをきいてくれない。
「で、出来ぬ。我が手でお前を…殺すことなど出来ぬ!」
『愛しているからこそ、あなたにとどめを…刺して、欲しいのです…!』
これ以上、自分の手で愛しい人を傷つけるなんて、耐えられなかった。
「殺して下さい」なんてお願いは、私の我が儘でしかない。
きっと、私を殺したことで、リーガルさまは一生、罪の意識に苛まれる。
でも、それでも私は――
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