(あっ…天使さま!)

クレアの視線の先には紅髪の天使。
彼の背中には金色に光る翼が生えていた。
不意に天使が飛び立つ。


「ま…待って…!」


クレアが叫んでも一向に止まる気配はない。


「天使さま…どうしていつも、こっちを向いてくれないの?」


とても声が届く範囲の距離ではないのに、天使は振り向いた。
だが靄がかかっていてハッキリとは見えない。


「     」


そこでクレアの意識は現実の世界へと引き戻された。


「…また、夢?」


クレアがベッドから飛び起きると、隣にはすやすやと眠っているコレットの姿。


「天使さま…」


窓を見ると太陽が顔を出し、世界に光が広がってゆく。
と同時に砂が舞い上がる音も聞こえてくる。


* * *



次の封印である旧トリエット跡の情報を集め、一行は南西に向かった。

道中にはイセリアを追放されたことや、ジーニアスが必死にコレット達を探してくれたこと、クレアが今朝見た夢のことなど様々な話をした。

四人は笑い合ったり、冗談を言い合ったり、時には暗い雰囲気になったりしながらも歩いて行く。

もっとも、クレアの見た夢の話はコレットしかまともに聞いてはいなかったが。

そんな四人を見詰める視線が一つ。


「やっぱり不満なの?」

「…まぁな」

「あの子達だってもう足手纏いにならない程度には戦えるわ」

「…そうだな」

「先生ー!クラトス!何やってるんだよ、もうすぐ到着するぜー!!」


目的地に近付く度、何度かコレットの表情が曇った気がした――。














to be continued...

(09.07.20.)


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