「ボク、ここで待ってます。しばらく…一人になりたいから」
「ミトス…」
「あ、違うよ。笛のことじゃないんだ。ごめんね」
「…分かった。危ないから、ここを動くなよ」
「はい」
「じゃあ、ミトスが借りたレアバードも返してきましょうね」
「…え?あ、うん。お願いします」
気丈には振る舞っていても、思い出の品が壊れてしまうのは、誰にとっても悲しい出来事だ。
今は亡き姉の遺品ということなら、尚更だ。
動揺しているミトスに注意を促し、一行はユアンの元へと赴いた。
「…きたか」
「あの…。ボータさん達が…」
「…死んだのか」
「ああ…。最後に任務を果たしたって、俺達に伝えてくれって」
「そうか…」
刹那、沈黙が流れる。
クルシスの天使であり、レネゲードの党首であるユアンといえど‘心’があるのだ。
仲間の死は、さぞかし辛いものだろう。
「では、空間転移装置を作動させよう。好きに世界を行き来するがいい」
「それだけか!?ボータ達は命と引き替えにレネゲードの作戦を…」
「ロイド!…ここから先は、我らが口を挟むことではない」
「こいつはずっと、ボータとその部下とツラつき合わせてきたんだ。俺達が何を言っても仕方ないさ」
「…分かったよ」
ロイドは渋々、詰め寄った距離を退いた。
リーガルにゼロス、二人の意見がいまいち腑に落ちないのは、自身がまだ子供だという証拠なのだろうか。
「それと、私達の仲間があなた達からレアバードを借りたようね。お返ししておくわ」
「…?我らが、レアバードを?そんなはずは…」
「どうしたんですか」
「…いや、何でもない。預かっておこう」
「…ユアン。悪かった…」
リフィルからユアンに手渡される、一つのウィングパック。
ミトスがレネゲードに借りたもの。
ユアンの元へ返ったことを確認し、一行はシルヴァラントベースを後にした。
「我らのレアバードは、すべて格納庫に残っていたはずだが…。…どういうことだ?」
to be continued...
(10.12.28.)
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