「皆さんっ!後ろを!」
「な…何だ!?」
「運搬用の飛竜でしょう。自爆システムの解除で、オリが開いてしまったんだわ」
「いかん!奴ら来るぞ!」
胸の奥が、熱い。
「死」を目の当たりにしたから?
なにも出来ない自分に腹が立つから?
…よく、分からない。
「………」
でも、必ず。必ず…!
生きて帰って、ボータさんの言葉を伝えるんだ。
それが彼の、ううん。
彼らの、最期の願いだから…。
失った命は戻ってこない。それなら、託された願いは、なにがなんでも叶えなくちゃいけない。
…?わた、し――。
「クレアちゃん!」
「…ゼロ、ス…?」
ふにゃりと力無く微笑んだクレアは、ゼロスの顔を見るなり崩れ落ちた。
安心、したのだろうか。
「これじゃあきりがないよ!」
倒しても倒しても、飛竜達は次々と現れる。
一匹でもてこずるというのに、これでは一行の体力が先になくなることは、目に見えていた。
《――危険になったら、この笛を吹いて――》
「…ミトスッ!」
すがるような思いで、ジーニアスは笛を吹いた。
ミトスの姉の形見だという、古びたそれ。
ドーム内に反響し、美しい音色を奏でる。
「な、何だ!?」
ドームの天井を突き破ったまばゆい光が、一行を捕食しようと羽ばたく飛竜に直撃する。
飛竜の巣でのあれとは、違うようだった。
頭上を見上げれば、金色が通りすぎていった。
『ジーニアス!リフィルさん!みんな!』
「ミトスの声だ!」
『レアバードで脱出してください!』
何故ミトスがここに、というは詮索はひとまずおいておく。
一行は各々のレアバードに跨がり、大空へと飛び立った。
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