「神子さま!ロイドさん!封印解放の旅は順調ですか?」

「あ、えっと…実は…」

「ああ、じゅ、順調です!それよりちょっと、こいつを預かってほしくて」

「訳あって一緒に旅をしているのだけれど、これから私達が向かう場所はかなり危険なのよ」

「ではもしや、パルマコスタ牧場へ向かわれるのですか!」


ロディルの件を含め、まずはディザイアンの様子を探ることを決めたクレア達一行。
しかし、ニールの言う《パルマコスタ牧場》は、主であるマグニスを倒し、牧場ごと破壊したはずだ。

どういうことなのだろうか。


「え?あそこは潰れちゃったはずでしょ」

「違うのですか?最近、ディザイアンが牧場跡をうろついていると報告を受けて、我々も警備を厳重にしていたのですが…。また、この件と関係があるのかは分かりませんが、ここしばらく、イズールドとパルマコスタを結ぶ海路で、ディザイアンの襲撃を受けると聞いています。海底に、何か巨大な建造物を作っているようだと」

「あの海底には、絶海牧場があったわね」

「それに、魔導砲がはずれでも、パルマコスタの牧場が復活したのなら、この街もルインの二の舞になっちまうよ」

「そうだな。パルマコスタ牧場へ行ってみるか」


無事に帰ったら、ミトスを引き取りにくるということ。
今からパルマコスタ牧場へ乗り込むということ。

二つをニールに伝え、一行は総督府を後にした。


「ジーニアス。気を付けて。リフィルさんも、ロイドも。…みんなも」

「ああ。しばらく待っててくれよ、ミトス」

「うん。…それから、ジーニアス。よかったら、これを持っていって。ボクの…亡くなった姉さまの形見。危険になったら、これを吹いて。何が出来るか分からないけど、もしかしたら、助けられるかもしれないから」

「分かったよ…ありがとう。必ず戻ってきて、この笛、返すから」


手の平には、何かの実で出来たらしい小さな笛が収まっている。
どうやら、随分と年期が入っているようだ。
ディザイアンの牧場に行けば、無傷で帰ることは保証されないだろう。

でも、必ず生きて帰って、話の続きをしてあげるんだ。
まだまだ全然、話し足りないんだから。


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