「…クレア、さん?」
「ふぇ?…あ、えと…」
「ボクの名前は、ミトスといいます。ジーニアスやリフィルさんと同じ…その…」
「あっ!」
「え?」
「私、まだミトスに自己紹介してなかったよね?今更かもしれないけど…私はクレア。よろしくね、ミトス!」
にこりと微笑んで、片手を差し出した。
ボクは、小さなその手を見つめ返してしまう。
ジーニアスもリフィルさんも、自らロイド達の仲間だと言った。
嘘だと思った。
信じられなかった。
だって、人間がハーフエルフと仲間だなんて、友達だなんて、有り得るはずがないんだもの。
そう、思っていた。
でも、違った。
震える手で、差し出されたそれを握りかえす。
「よろしくお願いします、クレアさん」
「クレアでいいよ。ジーニアスの友達なら私の友達でもあるから、ね?」
「…うん。よろしくね、クレア」
ボクの話なんか、まるで聞いちゃいない。
でも、不思議と嫌な気持ちはしないんだ。
むしろ――
あたたかくて心地好い。
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