クレアが目覚めた翌朝、リフィルが失踪した。
前夜のこともあり疲れ果てていた一行は、彼女の異変に気付くことが出来なかった。


「調べたいことがあるからって、書き置きを残して出ていっちゃったみたいなんだ。姉さん一人なんて心配だよ…」

「私、夜明け前にレアバードが南へ飛び立っていくのを見まシた。あれがリフィルサんだったのでは?」

「南というと、アルタミラの方か…」

「先生を追いかけよう。今、離れ離れになるのはよくない」

「あの…ボクも一緒に連れて行ってもらえませんか?危険だということは分かってます。でも、最近のテセアラは怪物がたくさん出るし、自分以外のハーフエルフに出会ったの、初めてだから…。リフィルさんに、無事でいてもらいたいんです」


ミントグリーンの優しい瞳が、確固たる意志をもってロイドを見据える。
エクスフィアを装備していないミトスと共に行動するということは、彼を危険に晒すということ。
しかし、彼はそれを承知していると言った。

なにより、その真剣な眼差しを見て反対する者など、いないだろう。


「よし、ついて来い」

「ありがとう!ロイドさん!」

「ロイドでいいよ。ジーニアスの友達なら、俺の友達だ」

「…はいっ!頑張ろうね、ジーニアス」

「ミトス…ありがとう」


友達の心強い発言に、ジーニアスは思わず瞳を潤ませる。
初めての同族の友達。それは、ミトスにとっても同じことだった。

二人の少年を先頭に、一行は歩き始める。


「待ちなさい。これをプレセアに…」

「それは、要の紋…」

「…お詫びというには簡単すぎるが、作っておいた。その間に合わせのものよりは安心じゃろう」

「プレセア。ありがたくもらおうぜ」

「…は、はい」


許されなくても、償う気持ちが大切なのだ。
ロイドは、改めてそれを確認した。
目指すは、ここより南に位置するアルタミラ。

大切な仲間の行方を追い、一行は大空へと飛び立った。


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