「ふああ…」
「お目覚めかい?お姫さま」
「…ふぇ?…あっ、おはようゼロス!」
にこり。
栗色の瞳が、嬉しそうに細められた。
リフィルの言葉通り、ある程度の休息をとったクレアは今こうして、目の前で微笑んでいる。
しかし、心の底に蔓延る不安は一向に拭えない。
「…クレアちゃん。ちょっといいか…?」
手袋を外し、クレアの髪を優しく掻き上げる。
確か、彼女のエクスフィアは胸元に装着されているはずだ。
「…ゼロス?どうし…」
ぷちり。シャツのボタンに手をかけた。
寝起きのクレアは、まるで他人事のように、その様子を眺めている。
三つ目のボタンに差し掛かった、その時、
「…いっ、てぇ〜!」
ゼロスの脳天に激痛が走った。
「あんたってやつは…!どさくさに紛れてなにやってんだい!…クレア、大丈夫だったかい?」
「…え?…う、うん…」
「…ゼロスくん、最低です」
「あ、いやその…。これには理由があってだな」
「問答無用!今度という今度は覚悟をし!…蒼ざめし永久氷結の使徒よ」
「ジャッジメント!」
「…え?」
漆黒の闇に、ゼロスの悲鳴だけが響き渡った。
to be continued...
(10.12.24.)
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