「大いなる実りって、何なんでしょうか?」
「わしもそれは知らぬ。しかしユグドラシルさまは、命よりも大事なものと仰せじゃったよ」
「…何か、いっぺんに色々聞いて、俺の頭じゃもう、何が何だか…」
「今日は疲れたじゃろう。よかったら泊まっていきなされ。ミトス…じゃったか?おまえさんも行くところがないのなら、しばらくわしの所におるがいい」
「いいんですか?ボク、ハーフエルフなのに…」
「ここに住んでいるのは、ドワーフのわしと、わしの作った自動人形のタバサだけじゃ。じゃからハーフエルフがいても別に問題はなかろう」
「…分かりました」
自動人形。つまり、タバサは人間ではない。
見た目は自身らと何一つ変わらないというのに。
発覚した事実に、ロイド達は動揺を隠せないようだった。
しかし、人間でないと考えれば、彼女の抑揚のない喋り方や、見た目にそぐわぬ怪力の正体に合点がいく。
「では、食事の準備をシますね」
「じゃあ今夜は、ジーニアスもリフィルさんも一緒なんだね」
「うん!いっぱい遊ぼうよ!…ボク、ミトスが初めてのハーフエルフの友達なんだ!」
「友達に…なってくれるの?」
嬉しさと驚きが含まれるその声に、ジーニアスは満面の笑みを浮かべて、こう答えた。
「もっちろん!」
「…ありがとう!」
初めて出来た、同族の友達。
今で体験したことや、これからのこと、沢山たくさん話してあげるんだ!
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