「これは、どうしたことだ…」
「あんたは、確か、アルテスタさんだったな。どうしてここに…」
「裁きの雷がこの村目掛けて落ちたのを見て…。しかし、これは一体…」
心を失ったコレットの治療法を求めて、真っ先に訪ねたテセアラのドワーフ、アルテスタ。
タバサという若草色の髪と瞳をもつ少女を引き連れ、一行の前に姿を現した。
「クルシスの…天使達の仕業です…」
「プレセア!正気に返っているのか!…なんということだ。これは実験の失敗の見せしめなのか…」
「どういうことだい。見せしめって…」
「…何でもない。何でもないんじゃ!」
口をつぐみ、首を振る。
「何でもない」と答えたアルテスタの顔は、確かに青ざめていた。
一行に背を向け、逃げるように走り出す。
それを追うロイドの前に、タバサが立ち塞がった。
「マスターは…自分のセいで、オゼットが破壊サれたと、思っているのでス」
「アルテスタさんは、オゼットと関係があるんですか?」
「…はい。スみまセん。マスターが、心配でス」
アルテスタが走り去った方向に目を遣り、タバサも同じように駆け出した。
「私…追いかけます」
「そうだな。ミトス、お前も一緒に来た方がいい」
「でも、ボクはハーフエルフで…」
「そんなの関係ないだろ。それに、ここに残って、また天使が来たらどうするんだ」
「そうだよ!一緒に行こう!」
目の前に差し出された、小さな手。
思いもよらない行動に、ミトスは綺麗なミントグリーンを見開く。
怖ず怖ず顔色を窺えば、ジーニアスはにこにこと微笑んでいた。
彼の仲間だという赤色の少年や金髪の少女は、目を輝かせて反応を待っている。
震える右手で、ジーニアスの左手を握った。
やんわりと、けれども、しっかりと。
to be continued...
(10.12.23.)
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