「おまえら汚ねぇな。七人がかりでボコにしやがって。ミトスは一人だったのによー!」
小さな子供がやるように、ノームはぷっくりと頬を膨らませた。
どうやら、ゼロスとクレアを除いた一行全員が向かってくるとは思っていなかったようだ。
「まあいいや。誓いを立てやがれ!」
戸惑う一行を余所に祭壇へと戻ったノーム。
あまりにも自由奔放な精霊の姿に、しいなはがっくりと肩を落とした。
「何かやりにくいねぇ。…二つの世界が、お互いを犠牲にしなくてもいい世界を作るために、あんたの力を貸しとくれ」
「んー。まあいいや。俺の力、姉ちゃん達に貸してやる」
いまいちつかみどころのない精霊ノームは、契約の証であるルビーの指輪を残し、姿を消した。
しいなの手中にそれが収まったことを確認し、ロイドは仲間を見回しながら声を上げる。
「よーし、計画通り!」
「でもよ」
ブーツの音を響かせてこちらにやってくるのは、戦闘中離脱していたゼロス。と、その背中には未だ眠ったままのクレア。
「二つの世界が切り離されたら、俺さま達もう会えないんじゃねぇの?」
「何で?レアバードで行き来すればいいじゃん」
「今はマナの流れによって繋がっているから、レアバードで移動出来るけれど、世界が切り離されても同じ、とは限らないわね」
「すると…マナを切り離した瞬間。二つの世界は、永遠の別れを迎えることになるやもしれぬのだな」
「最後の精霊と契約する時が、みんなとのお別れってことなの?」
今にも泣き出してしまいそうなコレットの言葉に、皆は俯く。
落ち込みかけた雰囲気を断ち切ったのは、旅のリーダーであるロイドだった。
「…しんみりするなよ!まだそうとは決まってないだろ?」
「…まーな」
ロイドの言葉に顔を上げた一行。まだ暗い表情の者もいるが、何事も前向きに考えた方がいい。
次なる目的地を決めるべく、プレセアが口を開いた。
「…次はどうしますか?」
「確か、フラノールの近くに、氷の精霊セルシウスがいると聞いたことがあるが?」
「よし、探してみるか。行こうぜみんな!」
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