轟音と共に崩れ落ちてゆく巣の一端に、一つの小さな影があった。
目を凝らせば、それは人影のようにも見える。
(クレアちゃん…!?)
ゼロスは慌てて前を行く仲間達の姿を確認する。が、見慣れた栗色はどこにも見当たらなかった。
今から向かっても、このままでは間に合わない。
(くっ……!)
胸元のエクスフィアが、眩い光を放った――。
「みんな、大丈夫か?」
「何とか生きてるぜ〜」
すやすやと眠るクレアを背負ったゼロスが、草むらの中から姿を現す。
着地時に出来た掠り傷はあるものの、大きな怪我は負っていないようだ。
「みんな、大丈夫そうだね」
仲間達の顔を眺め、しいなは胸を撫で下ろす。
「……しかしあのロディルとかいう不気味な男、何が目的でコレットを誘拐したのだ?」
「魔導砲の制御に、クルシスの輝石が必要だとか言ってた。でも、私のは駄目なんだって……」
「前にハイマで助けたピエトロも、魔導砲のことを言っていたわね……」
リフィルは細い顎に手を宛てて思考を巡らせる。
すると、彼女に介抱されていた小さな桃色が意識を取り戻した。
ゆっくりと仲間達を見回し、自身に駆け寄るコレットの姿が視界に映る。プレセアは、僅かだが安堵の色を浮かべた。
「コレットさん……無事……でしたか?」
「うん。プレセアのおかげだよ」
――ふわり。
プレセアが、笑った。
少々ぎこちないが、周囲の雰囲気を明るくするその笑みに、誰もが思わず見とれてしまう。
「プレセアが……笑った……!」
ジーニアスは頬を赤く染め、コレットの瞳に涙が滲む。
仲間達がその様子を微笑ましく眺めている後ろで、リーガルが呟いた。
「……やはり……似ている……」
to be continued...
(10.12.04.)
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