レアバードという飛行手段を得たクレア達一行は、クラトスの言葉を頼りにロディルの飛竜を捜索する。
果てしなく続く青空のある一点に、巨大な巣のようなものが漂っていた。
目を懲らして様子を窺うと、巣の中心で俯くコレットの姿を見つける。
「ロイド、あそこ!」
一行は慎重に高度を下げ、コレットの待つ巣の中心付近へと着陸する。
「コレット!」
レアバードの機体をウィングパックに格納し、コレットへ走り寄る一行。
両手には手枷のようなものを嵌められており、身動きが取れないようだ。
一行の存在に気付いた彼女は顔を上げ、声を振り絞ってこう言った。
「来ちゃ駄目!罠だよ!」
「え……?」
しかし、時すでに遅く、コレットはロイドの背後に五聖刃ロディルが姿を現した瞬間を目撃することになる。
ロディルの手にある小刀が、ロイドの喉元目掛けて振り翳された。
「バリアー!」
半透明な障壁が小刀を弾き飛ばし、落下したそれは大きな金属音を響かせた。
「ロイド!だいじょぶ!?」
クレアが駆けて来ると、ロイドは漸く自身の命が危機に瀕していたことに合点がいく。
慌ててロディルから距離をとり、腰の双剣を引き抜こうと手を伸ばした、その時。
自身の横を駆けてゆく小さな影が視界に映った。
「今まで私を利用してきたこと……許せません!コレットさんを返しなさい!」
プレセアは引きずっていた巨斧を大きく振り被り、躊躇なくロディル目掛けて振り下ろす。
と、ロディルの身体がぐにゃりと歪んだ。勢いの衰えない斧は、そのまま地面へと突き刺さった。
「幻……!?」
巨斧を引き抜き、バックステップで距離をとる。
「フォッフォッフォッ。そんな出来損ないの神子などくれてやるわい!どうりでユグドラシルさまが放置しておく訳じゃ」
「出来損ないだと!?」
「その罪深い神子では我が魔導砲の肥やしにもならんわい。世界も救えぬ。マーテルさまにも同化せぬ。挙げ句こうして仲間を危機に陥れる……。神子はまさに愚かなる罪人という訳ですなぁ」
侮蔑の眼差しでコレットを一瞥するロディルは、彼女の存在をも嘲笑う。
俯いたコレットの頬に、一筋の雫が伝った。
「……!」
「さあ、わしの可愛い子供達よ。この劣悪種共を食い散らかすがいい!」
そう言うと、ロディルは初めからそこに存在していなかったかのように、跡形なく姿を消した。
入れ替わるようにして現れた飛竜三体が、一行の目前に舞い降りる。
「……飛竜。竜族亜種。肉食を好み、動くものを捕獲し、餌とする。この狭い足場で逃げ切る確率は1パーセントです」
「冗談だろぉ!死ぬのはごめんだぜぇ!」
「食われる前に倒せばいいんだよ!」
ロイドが双剣を引き抜いたのを合図に、仲間達も各々の武器を構えて戦闘体勢をとった。
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