「どうやら事情がありそうね。捕虜にしたらどうかしら。色々話も聞けそうだわ」
細い顎に手を宛てリフィルが皆に意見すると、偵察に向かったコリンが息を切らして一行の元へ帰って来る。
「しいな!沢山兵士がいた。皆こっちに向かってる。急いで逃げて」
「まずいんじゃねぇのか?」
「でも、このまま戻ったって教皇騎士団がいるだろ」
狼狽える仲間達を視界の端に捉え、しいなはゆっくりと口を開いた。
「…仕方ない、ミズホの里に案内するよ」
「おいおいおい、しいな。ミズホの里は外部に秘密の隠れ里なんだろ?」
自身の身を案じて放ってくれた言葉だということは分かっているものの、しいなはその続きを無理矢理遮った。
「だけどこのままじゃ挟み撃ちだよ。里に逃げ込むしかないだろ」
敵は、コレット以外の仲間達にも足音が届く距離まで近付いて来ている。
多勢に無勢、いくらエクスフィアで身体能力を強化している一行であったとて、限界というものはある。
皆は無言のまま顔を見合わせ、こくりと頷いた。
「じゃあ、ゼロス。そのでっかい男を運んどくれ」
「俺さまが!?こんな大男、俺さま一人で運べるかっつーの!」
体格の良い男を抱えきれずふらつくゼロスに、コレットが柔らかな金糸を揺らして駆け寄った。
「私、手伝うね。ゼロス一人じゃ大変だもの」
「コレットちゃんは優しいな〜♪同じ神子同士だもんな〜」
「うん、そうだよね」
そう言うなり男の身体を軽々と片手で担ぎ上げ、瞠目する仲間達に向かってにこりと微笑んだ。
「思ったより軽いみたい〜。私一人でだいじょぶだよ」
「はは…そう…」
輝石の力であると理解はしているものの、自身よりも小柄な少女達の力を再度目の当たりにした男性陣は、何ともいえない複雑な心境になったとか。
to be continued...
(10.05.24.)
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