TRIO!! | ナノ

「うま子ー次移動だよ」
「うま子言うでない。陽菜だよ!」

無事同クラとなってくれた愛しのキノちゃんこと葉山柚姫ちゃんが、わたしをうま子と呼ぶのは決して馬に似ているからではない。
もちろん、今年が午年だからでもありません。
どうやらわたしが毎日ポニーテールをしてるからで、最初はポニ子と呼ばれていたけど、きのちゃん曰く、ポニだったらユーモアが足りないからうま子にしたらしい。いや、全っ然嬉しくない。

移動教室に着いてみると意外に人がいなかったから、中庭を隔てて高1、高2の教室が見える窓際に座った。きのちゃんは最前列の扉側が定位置らしい。
そしていつの間にかわたしの後ろにはるちゃんが座った。目合った瞬間、偽善者スマイルきらってしてきたよ、きめえ。


「せんぱーーい」


つまらない授業に飽きて、寝る体制に入っていると、うーーっすらとした声がどこかから聞こえてきた。


「こっちですよーこっちこっち」


あたりをキョロキョロ見渡して、窓の外を見ると、いた。

疑問系美少年が。
てか、結構離れてるのに、よく聞こえたよねわたし。

なんて自分に感心しつつ疑問系美少年と目が合うと、にこにこと手を振ってきた。
笑顔が眩しいな。
思わず小さく手を振ると、今度は耳でも生えたみたいに、嬉しそうに手を大きく振ってきた。
いや、きみ、授業中ですからー!

案の定、先生に指摘されたのだろう、慌てて前を見てノートを整理しだした疑問系美少年。
ほんと犬みたいだなー、


「ふっ」


思わず一人で静かに笑ってしまった。ちょあと恥ずかしいなあ、おい。

なんて思いながら、また寝る体制に戻り始めることにした。
そんな私の行動の一部始終を見ていた、後ろの席の人の表情がどんなだったのかは、知らない。



馬に似ているわけではありません。



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