TRIO!! | ナノ
「このように、if以降の動詞が過去形の場合、カンマのうしろは―」
春の日差し、心地よい風、チョークが削られる音、そして、子守唄のような安定感のある先生の声・・・
「ひなー」
「・・・・・・」
「ひなー・・・」
窓際であり隣の席に座るはるちゃんからの呼びかけ。
あーもうなんだようるさいなあ。
「相沢さん」
「ひなっ先生呼んでる。」
「んなっ?!」
「相沢さーん、前向いてねー」
先生の言葉に、くすくす笑うクラスメイト。
てか先生呼んでるなら、それを先に伝えろや。
ばかはる。
「そもそもひなが悪いじゃん。」
「ぬっ・・・」
確かにそうだけどもだっけっどー。
てか最近やたら静かだなーって、思っちゃうんだけどどうしてだろう。
あ、
「翔がいないからだよ」
「あー! なるほどーっ! ・・・て」
読心術・・・!?
はるちゃん、いつの間にそんなスキルを・・・
「幼なじみ、ナメんなよ」
何その男口調。チョーウケるんですけどー
って言ったら、はるちゃんたらわたしのペンケースとったし。おい。
睨んだら、返してくれた。
察してくれてよかったよかった。
「翔ばかだからねー」
そう言って、はるちゃんは窓の外を見ながら、頭が悪いが故に隣のクラスに行ってしまった幼なじみに、さらりと毒を吐きながら優しげに微笑んでいた。
その姿、なんていうか・・・
「ホモみたい、」
失言したあとのはるちゃんの笑顔が、いわゆる”(黒笑)”だったのは、言うまでもないだろう。
春と授業と馬鹿な彼とホモと
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