TRIO!! | ナノ
「あー桜が・・・」
「散っちゃうね」
僕の部屋で曇天を見上げながら呟くのはひなだった。
まー確かに雨はさげぽよだよね。
「さくらかあ・・・さくらぁ」
さっきから桜を呪文みたいに唱えるもんだから、さすがの僕でも気味が悪くなってきた。
「ねぇはるちゃん」
「ん?」
「桜みるとさ、あの子思い出しちゃうんだよねー」
ぼーっと空を見ながら、ひなは独り言みたいにぽつぽつと喋るけど、イマイチ分からない。
「なんでだろう・・・名前も知らないのに・・・」
らしくない言葉を発するひなに驚き、目を向けた瞬間、なんとなく、ひなが切ない顔をしていた。
そんなひなを見ていると、僕も切なくなって心做しか奥歯がぎゅーっと痛くなった。
雨と桜と彼女の呟き
>>TRIO!!