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彼女の変化に気付きました。




「なまえ、テーピング頼む」

「ん?どこ?」

「ここ。あとこっちも」

「ん。影山、いつも私に頼みに来るわよね。わざと私の仕事増やそうとしてるの?」

「利き手のテーピングはやりにくいんだよ」

「まあ、確かにそうだけど。アンタなら上手く巻けるでしょうに……はい、出来た」

「おう。サンキュー」

「あっ、なまえ、俺も!俺もテーピングして!」

「お前は来んな!」

「えっ!?かっ影山には頼んでないだろ!」

「別にいいけど、翔陽も自分で巻く練習したら?」

「うっ…」

「ほらな」

「まあ今はついでだし、やってあげるわ。おいで翔陽」

「やった!ありがとーなまえ!」

「……」

「……はい、これでオッケー」

「おおっ、すげー早ぇー!さすがなまえ!サンキューな!」

「上手く巻くコツとか教えてあげるから、今度練習しよ」

「うん!」

「なまえちゃん、ちょっといいかな?」

「あっ、はい、潔子さん!すぐ行きます」

「……」

「なーなー影山、なまえさあ、なんか変わったよな?」

「あ?」

「最近、清水先輩といる時、すげー笑ってる」

「……」

「あの二人、前より仲良くなってるよな?」

「よくぞ気が付いたな日向!」

「潔子さんがなんだって!?」

「わっ!?」

「…田中さん、西谷さん」

「入部したての頃のなまえは、ツンデレのデレがないタイプだった……しかし!今、まさに今!潔子さんにのみデレが発揮されている!!」

「つんでれ…?」

「よく分かんないけど、そうなんですか?」

「そうなのだよ!更に!!あの潔子さんのお顔を見ろ!!」

「清水先輩の…?」

「!!き、潔子さんがっ……笑顔だ……っ!!」

「そうだノヤっさん!あの潔子さんが、笑顔を浮かべていらっしゃるのだよ!!」

「清水先輩が笑ってるとなんかあるんスか?」

「馬鹿か影山!あのクールな潔子さんが笑顔!それだけで一大事だろーが!!」

「そうなんスか?」

「清水は滅多に笑わないからなー」

「あ、菅原さん!」

「ほら、今までマネージャーは清水一人だったからさ。なまえちゃんが入ってくれて、嬉しいんだべ。なまえちゃんも、いつの間にか清水に懐いたみたいだしなー」

「そうなんスか?」

「でも俺、なんか分かります!一人でやるより誰かと一緒の方が楽しいし!」

「そうだそうだ、そういう事だぞ翔陽!」

「けど、影山は残念だなー?清水になまえちゃんとられちゃって」

「?別に、とられたとかじゃ…」

「まあ仕方ねえよなあ、あん時の潔子さん、カッコよかったからなあ!」

「あっ、青城の時のやつですか?確かに、清水先輩カッコよかったです!」

「清水に全部持ってかれて、俺達空気だったしなー」

「えっ、おい待て龍何だそれ何の話だ!?」

「あー、そういえば、あの時は西谷いなかったのか」

「この間の練習試合の時に、困ってるなまえを潔子さんが華麗に助けたんだよ!」

「マジか!?さすが潔子さん!外見だけでなく行動も美しい!!」

「こう、なまえを庇うみたいに前に立ってよ、"なまえちゃんが嫌がること、二度としないで"(声色)ってよぉ……っくうー!さすが潔子さん、なんて優しいお方だ…!!」

「それ清水先輩の真似ですか?」

「似てないですね!」

「田中、それ気持ち悪いからヤメロ」

「おい龍フザケンナ潔子さんに失礼だろ!!」

「えっ!?」










先輩と同輩が騒がしいです。


「あの、潔子さん、あれ…」
「無視」