08


青城に行く準備をします。




「なまえ、メシ行くぞ」

「あーごめん、私今日忙しいから教室で食べる」

「は?」

「ほら、今日アレでしょ、青城行くでしょ」

「ああ、いつものアレか?及川さん対策」

「そう。だからさっさと食べてさっさと準備したいのよ」

「…じゃあ、俺もここで食う。購買と自販機行ってくるけど、なんかいるもんあるか?」

「ん、ならジュース買ってきて欲しいかな。影山と同じのでいい」

「分かった。先食ってていいから、ちゃんとここに居ろよ」

「はいはい、行ってらっしゃい」






「なまえ」

「あ、お帰り影山」

「おう。ほら、買ってきたぞ」

「ん、ありがと。これ終わったらお金渡すわね」

「それぐらい別にいい。つーか、もう食い終わったのかよ?」

「だってこれから忙しいんだもの、だらだら食べてたら昼休み終わっちゃうじゃない」

「いくらバレねえようにっつっても、わざわざ変装とか……お前もよくやるよな。いつも遊びに行く度にベタベタ化粧して、ヅラかぶって…」

「ちょっと、ベタベタとかヅラとか言わないでくれる?一応普通の範囲内だからねこれ。それに、これくらいバッチリメイクしとかないと、万が一兄貴に出会したらバレちゃうじゃない」

「及川さんにバレんのが、なんで駄目なんだ?」

「なんでって、めんどくさいからに決まってんでしょ!あの馬鹿、私が出掛ける度にどこ行く誰と行くいつ帰るって質問攻め、挙げ句の果てに俺も付いていくとか言っちゃうのよ?影山達と出掛けるなんて知れたら、絶対に付いてくるじゃないの」

「駄目なのか?」

「当たり前でしょ!友達と出掛けるのに兄貴同伴とか、マジ意味わかんないから!つーかそもそも兄貴と一緒に居るのが嫌なのよ!」

「そういうもんか?」

「そういうもんなの!だからバレないように協力してよね。私、兄貴には女バレのマネージャーしてるって言ってるんだから」

「女バレ?男バレじゃなくて?」

「男バレのマネしてるなんて言ったら、確実にめんどくさくなるでしょ。俺がいないのに男ばっかの部活なんて駄目!とかね」

「あー、確かに言いそうだな」

「…もしバレたら、部活辞めなきゃいけないかもねー」

「!?それは駄目だ!!」

「じゃあ、私がマネージャー辞めなくていいように協力してね、影山」

「おう!」






もはや誰だか分かりません。


「澤村主将、菅原先輩、お疲れ様です」
「ああ、おつ……えっ、あ?え…?」
「ちょっ、待って、君、誰…?」
「は?……ああ、すいません、私です。なまえです」
「え!?なまえ!?」
「何、どうしたのその格好!?」
「ちょっと諸々の事情がありまして、昼休みの内に化粧してウィッグ被ったんです。マネ業務には支障無いので、気にしないでください」
「い、いや…それはまあ、別に良いんだけど…」
「化粧っつーか、最早変身っつーか…女子って怖えな」
「ちわーす!いよいよだなー青城ノシてやるぁあああ!!」
「田中うるさいよ」
「田中先輩、縁下先輩、お疲れ様です」
「ッうおおおお!?誰だこの美女は!?」
「新しいマネージャー?」
「いえ、私はなまえです」
「……はあっ!?何だと!?なまえ!?これが!?」
「えっ!?ど、どうしたの、その格好…?」
「まあちょっと訳アリで。気にしないでくだ「うおっ!?し、知らない女子がいる!?」
「…翔陽まで…(めんどくさくなってきた)」

その後も人数分繰り返した。